【冬場の入浴介助】気を付ける点を徹底解説

監修者

介護福祉士養成校に2年間通い、介護福祉士取得後特別養護老人ホームに就職。5年間「なぜこの介護をするの?」「今日より明日の方が良いパフォーマンスができるように」をモットーに仕事をする。そうする中、「施設入居までの在宅生活を知りたい。」と思うようになり、在宅の介護支援専門員となる。担当した方と関係者も含め少しでもより良い生活を出来るように日々技術・知識を高めるため貪欲に学び続ける。

引用:消費者庁 冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! 

どんどん寒くなるこれからの季節で最も注意しなければならないと言っても過言ではない、入浴の時間。本来はリラックス・保清・感染症予防を目的に入浴するのに・・・死亡事故に繋がる可能性が高くなります。どのようにこの寒い冬でも安全に入浴をしてもらうようにするかを一緒に学んでいきましょう。

なぜ冬季の入浴中に死亡事故が多いのか

ヒートショックが原因で、血管は収縮拡張を短時間の間に繰り返し身体が対応しきれなくなり、心筋梗塞、脳卒中など重篤な状態を引き起こします。ヒートショックが原因と思われる入浴中の事故で、年間14,000人の方が亡くなっているとも言われています。その場で亡くなることが無くても、浴槽内場合はそのまま溺死する可能性もあります。もともと既往症と狭心症や脳梗塞がある方は要注意だと言えるでしょう。

ヒートショックとは

高齢者血圧変動

暖房を使い始めてから、寒い日に暖房の効いた暖かい部屋から脱衣所やトイレに行くと、思わず「ぶるぶるっと」と震えてしまったという経験はありませんか? それがヒートショックのシグナルです。ヒートショックとは、急激な温度差により血圧が大きく変動することで、失神や心筋梗塞などを引き起こし、身体へ悪い影響を及ぼしてしまうことをいいます。日常生活のなかで暖かい場所から寒い場所へ、ただ移動するだけで起きるかもしれず、時に命を落とすことにもつながりかねない大変怖い現象なのです。入浴時はこれの最たる場面です。暖かい居間から寒い廊下に出て、寒い脱衣所で服を脱ぎ、暖かい湯舟に入り、寒い洗い場で体を洗う。かなりのリスクが伴うことが分かります。

ヒートショックを防ぐには

引用:生活習慣病予防協会

まずは、室温の変化をなるべく減らすようにすればいい!!ということです。そして、リスクの高い高齢者は特に、一人の時間に入浴をしない、水分をしっかり摂ってから、家族のいる時、ヘルパーさんが来る前に入浴する。などの方法があります。

独居の方なら親族に入浴することを伝える、比較的気温の高い日中に入浴をするように心がけるのもいでしょう。

ヒートショックが起こりやすいのは冬場の浴室

自宅の場合

居間には基本的にエアコンがついていることが多いでしょう。上記画像にもある様に寒い所を確認します。

・廊下

入浴前に他の部屋のエアコンをつけてドアを開けておき、暖気を流しておく。電気ストーブを置いておくなどの方法を取るといいでしょう。

・脱衣所

ここは電気ストーブを置くと、火傷する可能性があります。「セラミックヒーター」など火傷しにくい構造のものを買うといいでしょう。最近ではネットでも小さいものでは3000円までで売っています。

・洗い場

洗い場は難しいですね。脱衣所のヒーターを入れると感電の可能性があります。確実なのは「かわっく」などの浴室内エアコンですが、高くてそう簡単につけることができるものではありません。浴槽内のお湯を洗い場に流して少しでも熱気で暖かくする。床を暖める。という対応が現実的でしょう。

施設の場合

施設の場合は規模が大きいですが、考え方としては自宅と同じ要領で考えていきます。職員が入浴介助の際に「寒っ!!」と感じるところを重点的に暖めます。そして、施設全体に暖かい空気は天井に、冷たい空気は足元に来るので、「サーキュレーター」の使用を施設全体で検討してもいいでしょう。

・廊下

人通りの少ない所でも入浴介助の際に通るところであればエアコンを付けおきましょう。ついていないようであれば、「ガスファンヒーター」など強力なものを使用しましょう。

・エレベーター

そもそもコンセントが無いことが多く、おけないこともあります。そんな時は、毛布を一枚老いて置き利用者さんにかけてあげるといいでしょう。

・脱衣所

入浴介助の始まる前から、ヒーターを付けて暖めるようにしましょう。裸でいて寒くない室温は28度程度だと言われています。温度計を置いて確認するようにしましょう。職員の方は熱いてたまらないでしょう。しっかり水分を摂る様にしてください。

・洗い場

シャワーのお湯を出しっぱなしにして、暖める。大浴場のような形であれば、浴槽内のお湯を洗い場に沢山流すのもいいでしょう。できることなら床材を冷たく感じないものに工事をするのもいいかもしれません。シャワーチェアにお湯をかけて冷たくない様に配慮も必要です。

まとめ

11月に入って今後どんどん寒くなる季節です。私たち介護職員が「さむい」と感じるということは、寒さを感じやすい高齢者はもっと寒さを感じています。入浴という裸になる行為がある介助の時は、寒さへの配慮が重要になってきます。まずは入浴におけるヒートショックの危険性を知り、予防する視点を持ち、「室温のバリアフリー化」ができるようにしましょう。難しい場所では「自分ならどうしてもらうと嬉しい」を考え配慮することもいいでしょう。寒くなったこの時期でも、気持ちよく・自分の入浴方法で・清潔に入浴してもらうことができるようにしていましょう。

これからもプロの介護職になるために、必要な情報を発信していきます。私たちと一緒にプロの介護職員になっていきましょう。

CAREPIST LAB