施設勤務のか方や在宅介護をしている方々の中で、「夜間寝ない」と言うことはかなり介護負担・業務負担が大きくなり、そして、不眠のまま生活をしている高齢者は自身もかなり大変な思いをすることになります。この「不眠症」について、原因とデメリットも考え対応策を一緒に学んでいきましょう。
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不眠症とは
入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。誰しも「眠ろうとしてもどうしても眠れない」という不眠体験をもっています。心配事がある時・試験前日・旅行先などさまざまな原因がありますが、通常は数日から数週のうちにまた眠れるようになります。
しかし時には不眠が改善せず1ヶ月以上にわたって続く場合があります。不眠が続くと日中にさまざまな不調が出現するようになります。倦怠感・意欲低下・集中力低下・抑うつ・頭重・めまい・食欲不振など多岐にわたります。このように「1. 長期間にわたり夜間の不眠が続き」「2. 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」、このふたつが認められたとき不眠症と診断されます。(厚生労働省Eヘルスネット)
高齢者の睡眠時間
引用:E-ヘルスネット
年齢とともに睡眠は変化し、基本的には短くなっていきます。健康な高齢者の方でも睡眠が浅くなり、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒が増加します。70歳になると6時間程度になるとも言われています。
不眠であることのデメリット
精神面
認知力や判断力の低下・不安定な感情・抑うつ状態などネガティブな感情が優位になってしまいます。活気がなくなる、否定的は発言が増える、怒りっぽくなるなどの症状が出ます。
身体面
疲労感や倦怠感により活動量が低下し、筋力低下によりふらつきが増幅し、転倒のリスクが上がります。免疫力の低下により、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。風邪をひいたときなどに、なかなか元気にならないことも挙げられます。
不眠の原因
日中不活発
運動することで疲労感が生まれます。適度な運動や疲労感は体内のセロトニンの分泌を促しすので睡眠にとっては重要です。日中特にやることもなく過ごしていると、食後に眠気が起こりそのまま寝てしまいます。その為夜間に寝ることができず不眠となり、再度日中に眠くなり夜間寝ることができない悪循環になります。
睡眠障害
入眠障害
ベッドに入ってから寝付くまでに30分~1時間以上かかるタイプ。精神的面が落ち着いていない時(不安や緊張が強い時)に起こりやすいと言われています。ここでは「せん妄」が関係していることがあります。せん妄は意識障害の一種で、興奮して寝ることができない状態です。
中途覚醒
年をとるにしたがって、眠りがだんだんと浅くなり目覚めやすくなります。睡眠中に何度も目が覚め、一度起きたあとなかなか寝つけなくなるタイプです。目が覚める時間や回数は個人差がありますが、高齢になるにしたがって多くあらわれてきます。
早朝覚醒
本来の起きる時間より2時間以上前に目が覚めてしまい、その後眠れなくなってしまうタイプです。年をとると体内時計のリズムが前にずれやすく、若い人に比べて夜遅くまで起きていられなくなるので、早寝早起きになります。また、うつ病の方にもよく見られる所見です。
熟眠障害
時間として眠っていても、「ぐっすり眠れた」という満足感が得られないタイプです。途中で息が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」や寝ている間に足がピクピク動く「周期性四肢運動障害」など、睡眠中に症状がでる病気に関係していることがあります。本人が自覚症状が無い為、身近な人(介護職員)が睡眠状況をしっかり見ておく必要があります。前述の症状も併発している可能性もあるので注意が必要です。
安眠してもらうための方法
皆さんの中にも、寝る前に色々決まったことをしている人・気を付けていること・睡眠時の環境へのこだわりがある人など個別性があります。高齢者においても今までの生活のリズムや環境の整え方、寝るまでの準備など様々です。分野別に確認してみましょう。(下記のものが全てでは一例です)
活動面
運動することで疲労感が生まれます。適度な運動や疲労感は体内のセロトニンの分泌を促しすので睡眠にとっては重要です。ここでは楽しく介護予防の観点も取り入れ行うといいでしょう。
2021年10月分のイベントで「根拠の言えるワンランクアップレクリエーション」で紹介しています。
環境整備
照明の明暗・ベッドのマットレスの固さ(身体状況を加味する)・掛け布団の調整・衣類の調整・室温の調整・音の調整(40dBA(デシベルエー)以下の音環境が望まし)
寝る準備
身体内部の温度が効率的に下がることによって眠気が促されるので入眠30分~1時間程度前に入浴して体温を上げることも効果的です。口腔ケア・更衣・暖かい飲み物を飲む・アルコールを避ける・食事を2時間前に終わらせる。
医療連携
かゆみや痛みのコントロールの為に服薬をする。睡眠薬を飲んでいる場合は服用のタイミングを一緒の検討する。このためには何時に服用して何時に入眠したのか、何時に覚醒したのかなど詳細にアセスメントが必要です。
まとめ
高齢者の中には、「不眠症」の方が多数います。中でも認知症の方は生活リズムが崩れやすく「不眠症」になりやすいです。「不眠症」には複数の原因があり、それにより対応方法も違います。一概に「日中活動的に過ごすことがいい」とは言えないことが分かって頂けたかともいます。しっかり睡眠時の状況をアセスメント(環境・入眠前・入眠中など)を多岐にわたり行い、医療職とも連携を取り、より質のいい睡眠をとってもらうようにしていきましょう。今後「不眠症」の原因別の対応方法なども詳細に記事にしてきますので一緒に学び、プロの介護職員になっていきましょう。