【入浴介助はどうするの?】入浴介助の基本を徹底解説

監修者

介護福祉士養成校に2年間通い、介護福祉士取得後特別養護老人ホームに就職。5年間「なぜこの介護をするの?」「今日より明日の方が良いパフォーマンスができるように」をモットーに仕事をする。そうする中、「施設入居までの在宅生活を知りたい。」と思うようになり、在宅の介護支援専門員となる。担当した方と関係者も含め少しでもより良い生活を出来るように日々技術・知識を高めるため貪欲に学び続ける。

入浴介助は三大介護(入浴・排泄・食事)の一つであり、身体的にもきつく、事故が起こるリスクが高く精神的にもつらい業務の一つです。そんな入浴介助も、その方の身体状況に合わせた入浴方法を実施することで、お互いに安心した入浴タイムを過ごすことができるようになります。その為に必要な基本的な視点や知識を得ていきましょう。

 

入浴介助イラスト/無料イラストなら「イラストAC」

入浴介助とは?

入浴介助は、一人では入浴できない方に対して、本人が今までしてきた入浴状況にできる限り近づけて、入浴ができるように利用者の持てる力を活かし、必要に応じて直接的な介助やシャワーチェアなどの福祉用具を活用し入浴をしてもらい、身体を綺麗にする介助のことを言います。入浴介助中は事故や急変が起こりやすい為、安全性を強く意識します。

入浴することの目的

・精神面への効果
私たち介助者も入浴をすることでリラックスできるように、湯船にしっかりと浸かることは、利用者にとって楽しみのひとつでもあるでしょう。入浴によって筋肉の緊張がほぐれ、副交感神経が優位になり心身のリラックス効果をえる目的があります。入浴のタイミングを工夫することで良質な睡眠を得ることもできます。

・皮膚の状態観察
入浴介助では、利用者の全身を見ることができるチャンスです。普段は衣服で隠れていてわからないようなキズや内出血、褥瘡や発赤の有無や程度についても観察することで、早期発見・処置やけがの悪化防止につながるでしょう。

・感染予防
入浴介助によって皮膚に付着した菌を洗い流し清潔にすること、尿路感染や皮膚疾患など感染予防にもつながります。

入浴の準備

ヒートショック

図:入浴中にヒートショックが起きる機序を説明するイラスト。ヒートショックは入浴前から入浴中の急激な室温の変化によって血圧が大きく変動するなど、身体に大きな負荷がかかることで起こり、失神、不整脈などの症状が見られる。

入浴の準備の時に注意すべきは「ヒートショック」です。気温が低くなる冬場の脱衣場や浴室は特に室温が低くなりがちです。衣服を脱いで急に浴槽にはった熱いお湯につかると、急激な温度差によって大きく血圧が変動し、ヒートショックが起こりやすい条件となります。なので、寝室・居間・廊下・脱衣所・浴室の室温の差をなるべく少なくするようにします。

 

必要物品準備

・入浴用具

シャワーチェアー・滑り止めマット・バスグリップ・すのこ

・着替え

入浴後に着替える衣類を準備します。利用者が脱いでいる時に衣類の確認をするといいでしょう。

・排泄用品

リハビリパンツやパット、オムツなどを準備してきます。排泄介助の際に必要なものを用意します。

・バスタオル・フェイスタオル

バスタオルを、入浴後に座る椅子や車いすに敷いておくと濡れにくく便利です。フェイスタオルは浴室に入る際に陰部を隠すのに使用します。浴室内にも陰部を洗うように一枚用意しておきましょう。

・石鹸類

シャンプーやリンス・ボディーソープの用意をします。在宅の時はご家族のものと分けていることがありますので注意してください。皮膚が弱い方には石鹸の種類を見直すこともいいでしょう。

・綿棒・爪切り・ブラシ・ドライヤーなどの整容グッズ

入浴後は爪がやわらかくなるので爪切りをより安全にすることができます。

・軟膏類

入浴後に皮膚疾患のある方は軟膏を塗ります。保湿剤を使用される方もいます。女性は化粧水や乳液を塗ります。

手順を再確認

入浴前の体調チェックから浴室まで

健康チェック1」 デイサービス(介護・医療)みさきのイラスト素材 - 素材屋イラストブログ

入浴する前に必ず介助対象者の体調チェックを行いましょう。体調が悪いときに無理をして入浴すると、容態が急変するなどさらに悪化してしまう場合があります。事前にきちんと健康状態を確認しておくことが重要です。下記の様なことをしっかりと確認しましょう。

・血圧は高すぎないか?

→中にはもともと血圧の高い人もいますので、高いと感じた時は医療職に相談します。

・熱発はしていないか?

→平熱が高い人もいます。37.0°以上だから入浴できないと決めつけず、平熱を知り医療職と連携を取りましょう。

 

・脈拍数に異常はありませんか?

→デイサービスでは来所時は頻脈になることがあるため、再度測定もしてみても頻脈の時は医療職に相談しましょう。徐脈の時も同様です。

・呼吸数に異常はありませんか?

→喘鳴があるや、呼吸が荒いなどの状況の時は入浴を控えることを考えましょう。看護師に報告し対応を検討します。

・何か普段と違う感じはないですか?

→介護職のよくある「なんかおかしい・・・」というやつです。この時は医療職と一緒に何がおかしいのか?を探るようにしましょう。

上記内容の体調確認後脱衣所で衣類を脱いでもらいます。この際に皮膚状態の観察も兼ねるようにしましょう。

入浴時の手順

みさきのイラスト素材】無料/商用利用加工OK در توییتر "リニュアルしました。「お風呂移動2」入浴(介護・医療) https://t.co/xVrsNsq0Sq ※印刷用イラスト(350dpi高画質、jpg/png) こちらはサンプルです。画像はサイトから保存ください。 #介護 #入浴 #入浴介助 #バス ...

・洗い場にセットしている椅子に座る。または浴室用車いすを誘導します。

・シャワーの温度を介助者の手で確認後本人の手でも確認してもらう。

・心臓から遠いところ(足元)からお湯をかける。

・頭を洗っていきます。本人ができるところは本人にしてもらいます。頭皮の状態の確認も兼ねます。

・洗顔をします。耳の後ろなどの洗い残しがないか確認しましょう。この時寒い様子ならタオルを背中にかけてかけ湯をするといいです。男性の場合髭剃りをする方もいます。

・洗身をします。人によって洗う順番が違いますので注意が必要です。陰部を洗う時は立ってもらうことが多いです。足元の石鹸をしっかり洗い流す・滑り止めマットを敷くなどの転倒予防をします。必要に応じて職員が二人で支える人・洗う人で行うこともあります。

・石鹸を洗い流します。

・浴槽に誘導する。介助者の手で温度を確認し、本人にも確認してもらい、ここでも心臓の遠いところから浴槽に入ってもらいます。浴槽に浸かり過ぎると、のぼせたりしますので長くならない様に注意しましょう。

・浴槽が出る。浴槽から出るときにのぼせ気味になりふらつくことがります。バスグリップや淵をしっかり持ってもらいあがってもらいます。

・浴室である程度水気をタオルでふき取り脱衣室に戻ります。

入浴後

みさきのイラスト素材】無料/商用利用加工OK on Twitter: "...こっちはブログぢゃなくて、通常リニュw 「介護・医療」→「入浴」カテも後1ページで終わり。。。 介護は、ようやく30ページくらいオワタ。 あと20ページちょい...やはり秋(9月)までかかるかな? 梅雨明けて ...

・足ふきマットで足の水気を取る。

水気が残っていると転倒のリスクが上がります。

・背中とお尻を拭き、バスタオルの敷いた椅子または車いすに座る。

・全身を拭き上げる。(自身ででふけるところは拭いてもらう)

・着替えを用意し、必要に応じて介助や声掛けをし来てもらう。

・水分を摂ってもらう。

入浴では水分が失われますので注意が必要です。

画像引用先:みさきのイラスト素材

活用できる福祉用具

入浴補助用具

画像引用先:TaKaSa corporation

  • 入浴用いす・・・車いす型のものもあります。高さや背もたれの有無など種類が様座です。
  • 入浴台・・・浴槽の深さに合わせて使用します。肩までぬくもることができないことがありますので注意が必要。
  • 浴槽用手すり・・・浴槽の淵の太さによって用意するものが違います。
  • 浴室内すのこ・・・浴槽へのまたぐ行為が高くて行いにくいときや床材が冷たい時に使用します。
  • 入浴用介助ベルト・・・浴室で立位保持は難しい方に装着し、介助者が持つところを作り出します。

上記のほかにも滑り止めマットや寝台浴槽などもあります。必要な時は福祉用具専門相談員とセラピストに相談し購入するようにしましょう。

まとめ

このように入浴介助の際は、リスクが大きく事前の準備も多く準備不足が事故に直結することがあります。入浴前に体調確認や入浴中の観察視点なども多岐にわたります。異変があれば医療職との連携も必要となります。今回は基本的に入浴介助の準備から入浴後のケア、活用できる福祉用具の紹介をしましたが、これだけではプロの介護してしての個別ケアが足りていません。今後プロの介護士を目指すうえで必要な視点や知識を発信していきますので、是非ご登録宜しくお願い致します。