移動とは
位置から位置へ移る動作のことです。つまり、介護される人が椅子に腰掛けた状態から車イスに座り変えたり、トイレの便座に座ったりといった、日常生活の中で繰り返し行われる「乗り移り」の動作のことです。
移乗とは
生活の場から場へ行くことです。つまり、寝室(寝ている場)から食堂(食事をする場)に移る動作などのことを言います。
「移乗・移動」をする意味とは
身の回り、家の中から、地域、社会へと生活範囲を広げようとしていくとき、それを可能にするのは「移動・移乗能力」です。この能力があると、生活の中で自由が獲得しやすくなります。
・友人に会いに行く。
・家族と旅行に行く。
・リビングで食事をする。
このように「移動・移乗」の先には目的があり、社会とのつながりがあります。昨今コロナウイルス感染症が猛威を振るっており、社会との繋がりに変化が出てきています。
・オンライン飲み会
・オンライン会議
・オンライン旅行
などオンラインでの対応は多数出てきています。
しかし、沢山の方が外出をして、買い物や食事に出かけるのはなぜでしょうか?おそらく、「人と人との関わりをリアルにしたい。」に尽きるのではないでしょうか?
移動・移乗ができないとどうなるのか
高齢・障害のために「移動・移乗」ができなくなると、社会との関わりが著しく制限され、自分らしい生活ができなくなります。
・トイレに行きたいのにいけない
・空腹でも食堂に行けず食事ができない。
・家族と居間でゆっくり話をしたいのに行けない。
などこのように自分らしい生活を維持していくためには「移乗・移動」能力は非常に重要です。
移動・移乗の基本視点
本人・介助者が共に安全であることが重要です。ここで重要なのは安楽を求めていては、一向に「移乗・移動」能力は獲得できず、自分らしい生活を実現できない、ということです。
ボディーメカニクス
①支持基底面席を広くする。(足を広げる)
②重心の位置を低くする。(腰の位置を低く)
③重心の移動をスムーズにする。(体をねじらない)
④重心を近づける。(対象者との距離を近づける)
⑤てこの原理を使う。
⑥対象を小さくまとめる。
⑦大きな筋肉を使う。(手の力より足の力)
言葉ではなかなか伝わりにくいと思います。こんな時は、動画サイトで「ボディーメカニクス」と検索してみましょう。わかりやすくイメージがつきやすくなります。
自立支援
本人にとって多少つらいことであっても、その先にどのような生活が待っているのかを伝え、その為に根拠をもって動作をしてもらう。その為には、本人の「病歴・障害部位や程度・理解度・意欲の程度・筋力の状態・バランス感覚など」多岐にわたり本人の状況についてアセスメントを行います。「移乗・移動」に関して何ができていて、なにができないのか?などを明確にしましょう。
介護職の腰痛予防
このように介護職は腰痛など、体のどこかに痛みを慢性的に持っている割合が9割もあることが分かります。
解説してきた、ボディーメカニクスの活用・自立支援を目的とした本人の力の活用をすることで、介護者の身体的な負担を軽減して、腰痛予防にも活用しましょう。
そして、介護職も上記のことだけではなくストレッチなども取り入れ、日頃から腰痛対策を講じることで、自身の体調管理をしていきましょう。合わせて整骨院やマッサージに行くこともおすすめです。
福祉用具の活用
現在移乗については、国の施策でもあるように沢山の福祉用具が開発されています。本人の持っている力を邪魔しないように配慮しながら活用することで、より効果的な介護が行うことができます。
まとめ
「移乗・移動」に関して、なぜできる必要がるのか?できないとどうなるのか?どのような視点で支援をするのか?を解説してきました。あくまでもここまでは、「移乗・移動」の根本の話です。ここに個別性が加わりより多様な介助方法を考え、生まれています。今回は画像などの挿入のみですが、「移乗・移動」に関してはケアピストの仲間で動画編集をしてよりわかりやすくしてお伝えしていきます。